STEAMS教育で広がる子どもの学び方|好きと得意を伸ばす「第三の学びの場」

STEAMS教育で広がる子どもの学び方|好きと得意を伸ばす「第三の学びの場」

地元のFMラジオで、教育についてお話しする機会がありました。そこで改めて伝えたのは、子どもたちの学びは学校の授業だけで完結するものではない、ということです。

算数や数学を学ぶことも、プログラミングに触れることも、体を動かすことも、自分の考えを表現することも、すべて学びにつながります。ハジケルラボとゆめキッズアカデミーでは、そうした学びを組み合わせながら、子どもや親子が自分らしく過ごせる場を目指しています。

STEAMS教育とは何か

ゆめキッズアカデミーで扱うSTEAMS教育は、一般に知られているSTEAM教育に、スポーツの要素を加えたものです。

STEAMのそれぞれの文字は、次の学びを表しています。

  • S:サイエンス(科学)
  • T:テクノロジー(技術)
  • E:エンジニアリング(工学)
  • A:リベラルアーツ(歴史・文学・表現など)
  • M:数学

ここに、スポーツを意味するSを加えます。

科学や技術だけでなく、歴史や文学、表現といったリベラルアーツも含めて考えることが、STEAMS教育の特徴です。さらに、スポーツを学びに加えることで、体を動かすこととテクノロジーを組み合わせた活動も可能になります。

たとえば、ゆめキッズアカデミーでは、プログラミングやドローン、マインクラフトを使った学びが行われています。VRスポーツやARスポーツのように、テクノロジーと体験を結びつける発想もあります。

教科を一つずつ別々に学ぶのではなく、興味を持ったことを入り口にして、数学、技術、表現、スポーツへと学びを広げていく。そこにSTEAMS教育のおもしろさがあります。

算数・数学を「好き」から伸ばしていく

きゅうご先生は、約30年、学校の教員として働き、算数・数学を専門としてきました。また、働きながら夜間大学院で心理学を学んでいます。

その経験を土台にして、学校のクラスや学年という枠を越え、より広いフィールドで子どもや親子に関わりたいと考え、現在の活動につながりました。

算数や数学は、問題の解き方を覚えるだけの教科ではありません。プログラミングを通して考えたり、ゲームの中で試行錯誤したり、ドローンを動かしたりするなかにも、数学的な見方は現れます。

大切なのは、最初から「数学を得意にしなければ」と構えることではなく、子どもが夢中になれるものを見つけることです。好きな活動に取り組むうちに、考える、試す、修正するという学びのサイクルが生まれます。

子どもの好きなことや得意なことは、一見すると学習とは関係がないように見えるかもしれません。しかし、その興味を出発点にすることで、学びは本人にとって自分ごとになります。

ハジケルラボは「第三の学びの場」

ハジケルラボは、親子を元気にするコミュニティとして始まりました。

家庭と仕事、あるいは家庭と学校だけではなく、その間にある第三の場。そこでは、子どもだけでなく、保護者も自分の悩みやこれからの生き方について考えることができます。

実際に寄せられる相談には、子どもが勉強しない、宿題をしない、忘れ物が多いといった学習や生活に関するものがあります。また、保護者同士の人間関係についての悩みもあります。

ここでの関わり方は、すぐに答えを与えることではありません。きゅうご先生は、相談している本人がすでに答えを持っていることも多いと考え、どのような悩みなのか、どう解決したいのかを質問します。

質問を通して考えを整理すると、本人自身が「こうしよう」と決められることがあります。これは、外から正解を渡すのではなく、その人の内側にある答えを引き出していく関わり方です。

子どもへの声かけでも、保護者への相談でも、本人の考えを尊重する姿勢は共通しています。教育を一方的に教えることとして捉えず、問いかけながら一緒に考える。ハジケルラボには、そうした学びの土台があります。

ゆめキッズアカデミーがつくる新しい学び方

ゆめキッズアカデミーは、学校で十分に扱うことが難しい分野を学ぶ場として構想されました。学校では、プログラミングをはじめ新しい内容が求められていますが、教員の多忙さや人手不足もあり、本格的に取り組むための時間を確保することは容易ではありません。

そこで、学校の授業とは異なる形で、子どもが興味を持った活動に取り組める教室をつくりました。

対象は小学校1年生からが基本ですが、年長から始めることもできます。お金やビジネスを学ぶコースは小学校3年生からで、高校生や大学生も参加できます。1つのメニューはおおむね60分です。

特徴的なのは、遊びの感覚を入口にしながら、そこから学びが生まれることです。マインクラフトで試す、キーボードを操作する、ドローンを飛ばす。子どもにとっては遊びに近い活動でも、その中には論理的に考えることや、失敗してやり直すことが含まれています。

時間が終わっても活動を続けようとする姿は、子どもがその学びに夢中になっていることの表れです。好きなことに集中する時間は、知識を得るだけでなく、自分の興味を確かめる時間にもなります。

不登校の子どもを含めた多様な居場所として

すべての子どもが、同じ場所、同じ時間、同じ方法で学ぶ必要はありません。学校に通うことに難しさを感じている子どもや、自分に合う居場所を探している子どもにとって、学校とは別の学びの場が選択肢になることがあります。

ハジケルラボやゆめキッズアカデミーが目指しているのは、学力だけを測る場所ではありません。何に興味があるのか、どんなことなら集中できるのか、どのように人と関わると安心できるのかを見つけていく場です。

子どもが自分の好きなことを話し、試し、表現できる。その経験が、次の学びや社会とのつながりにつながっていきます。

学びを地域や社会につなげる

STEAMS教育は、教室の中だけで完結するものではありません。科学や数学を学ぶことも、表現することも、将来の仕事や地域での活動と関係しています。

きゅうご先生は、リベラルアーツに含まれる表現の学びとして、即興劇のワークショップにも取り組む予定です。その場で振られたことに対応し、役を演じる即興劇は、自分の中にあるものを表現する機会になります。

子どもだけでなく、保護者や社会人など、さまざまな人が参加できる学びとして広がる可能性もあります。教育を子どもだけのものにせず、大人も自分らしい学び方や表現を見つけていく。そこから、家庭、学校、地域の新しいつながりが生まれます。

未来の教育は「答えを教える」だけではない

学校で学ぶ算数や数学は、もちろん大切です。一方で、これからの教育には、子ども自身が問いを持ち、好きなことを試し、自分なりの答えを見つける時間も必要です。

ハジケルラボのコミュニティ、ゆめキッズアカデミーのSTEAMS教育、そして質問によって本人の答えを引き出す関わり方。これらは別々の活動に見えて、根にある考え方はつながっています。

子どもも大人も、自分は何をすると楽しいのか、何をすると生き生きするのかを見つめること。そこから始まる学びは、教科の枠を越え、家庭や学校の外へ広がっていきます。

「好き」を学びの入口にすることは、甘やかすことではありません。自分の興味を手がかりに、考え、試し、他者と関わり、社会へつながっていくための出発点です。未来の教育に必要なのは、一人ひとりの中にある可能性を急いで決めつけず、問いかけながら育てていく仕組みなのかもしれません。